ミルク蒼屋のチラシ

Colloid(コロイド)が何か色々と残したりするブログです

植物図鑑を読んで春を感じた

家の近くに立派な図書館があると、つい通いがちになるなーと思いつつ
いつか読んでみたかった植物図鑑を読んだ。

植物図鑑 (幻冬舎文庫)

植物図鑑 (幻冬舎文庫)

  • 作者:有川 浩
  • 発売日: 2013/01/11
  • メディア: 文庫

作者の有川浩さんは、私は図書館戦争シリーズがそれはもう新刊が出るたびに購入して
本の世界にどっぷりハマるきっかけの作者であって
小説をあまり読まなくなってからも、新作はちょいちょい気にはなっていて
ついにというかやっとこのさ読んだという経緯。

1ページ目から文言から有川浩!!!!!という感じの文体で、とても懐かしさを感じた。
前回はトーキョー・クロスロードを読んだので、あの文体に馴染んでいたのもあり、一方で図書館戦争でがっつり文体を覚えていたのも有り、同じ小説でも全然違った。
絵も同じで描く人によって表現が絵柄が違うように

colloidgel.hatenablog.com

内容は主人公でありOLの「さやか」が、飲み会の帰り道に家の前で行き倒れているイケメンを助けたのがきっかけで同居することに。
そんなイケメン「イツキ」は大の植物オタクなので、晴れた日には散歩してリアル道草をする人であった。
そんなイツキに影響される「さやか」と、植物オタク以外な事は謎な「イツキ」の2人が繰り広げる恋愛小説…であり、山菜がうまそうなグルメ小説でもある。

この本を読む前にウィキペディアでがっつりネタバレを踏んでしまったけど、ウィキペディアはあくまで本作の内容の概要であり、やはり実物を実際に読まないとよさみはわからないよねというのはあり。
そしてこの本の裏表紙にある説明とウィキペディアには恋愛小説とあるが、実際は前半は山菜がうまそうに調理されている姿が想像できるグルメ小説な部分がある。
イツキがさやかとの散歩で狩りと称して、道に生えている食べれる植物を手に入れては調理し…というのを季節の流れに合わせてくりかえすのが前半。
思わず食べてみたいなぁと思うほど美味そうに調理されている山菜達。

そして季節が巡って2人の関係も同居人から恋人へ
この関係性の変わり方も有川浩!!!!!!!という感じであった。
図書館戦争の堂上教官と郁との関係も、はじめは上司と部下から革命を機に一気に進み
この二人もそうで、喧嘩と飲み会の帰りから一気に関係性が進む。
こういうのに弱い
一応どちらもバックグラウンドなストーリーがあるけど、じわじわ関係がかわる方であはなく、きっかけを機に変わるのである。
これだから人間は不思議で面白いのだと思いつつ、恋愛小説の部分だと思うなどしていた。

最後に近くになるにつれて、イツキは突然いなくなるのだが、その間のさやかの悲しみっぷりは共感するでしょう。
そしてその悲しみに付け入る酒癖が悪い同僚からの告白、でもさやかはその告白を素直に理由を告げて断る所。
他の同僚には適当なごまかしをしたけれど、イツキに関わる部分は素直な所がいいよね。
最終的にはハッピーエンドだけど、酒癖が悪い同僚もはじめの印象*1から一転して察せるいい男になっていて、後味が良い
きっとモテると思う。

そして番外編であるイツキの心情も知れて良かった。
そういった本編から番外編全て一通り読んで、後味がよく、恋愛小説を読んだという気持ちがあふれるのだ。
そして山菜を使い素材を生かした薄味な料理が食べたくなるのだ。

読んだ後に向かったスーパーには、フキノトウやワラビがパックで売っていた。
植物図鑑を読んでいなかったら、思うことなくスルーしていたのだろうな。

そしてそれを見て、春が来たんだなと季節が巡っていたのを思ったのであった。

*1:さやかの事を送り狼していた